バズりました(VESSEL電動ドライバー紹介記事 ねじ成分多め)
バズりました
先日こんなツイートをしたところ、2000RTされて少しビビってます。
VESSELがいいもん出してきた。ほぼほぼ今までと同じ大きさなのに電動。電源入ってなかったら普通のドライバー。充電はUSB5V、値段はおおよそ5000円ほど。売れすぎて生産間に合ってないんだと。 pic.twitter.com/A4b3VmOILG
— Kenji Hisano (@3GKen) May 22, 2019
珍しいこともある。
展示会でVESSELのブースに行くと小型の電動ドライバーを見つけていいなと思いあげたところ、反響があった。
今回はファーストインプレッションもかねてレビューしようかなと。
ちなみに商品はこれ↓
参加した展示会
会社の出張で参加したのですが、電気設備関連の展示会です。
まあ、一般的な企業の職員なのでこういうところにもよく行きます。
ただ、FA系ではなくプラント系の電設機器なのでなんとなく分野違いだったかなとか。
まあいいや
でそこで先述したドライバーが出て惹かれちゃいましたと。
VESSEL製の一般的なドライバーの内部にモータを入れ込み、ねじ締め動作を効率化させるツールです。
実際売れているらしく、どこのネットのページを見ても取り寄せ状態。
ほしいけど出てきたら買うかなとか思ってました
VESSELドライバーの購入
幸運なことに、ハンズマン(http://www.handsman.co.jp/)では売られているのを発見。購入。
ハンズマンはできるやつだって俺は知ってるんだぞ pic.twitter.com/qKvMjSsDbo
— Kenji Hisano (@3GKen) May 23, 2019
開封
とりあえず写真載せときますね
仕様
品名:電ドラボール
型式:220USB-1/220USB-5
バッテリー容量:Li-Ion 3.6v 800mAh
無負荷回転数(MAX):280min^-1
トルク(MAX):2Nm
耐久トルク(手締めのトルク):10Nm
スリーブ:6.35対辺チャック
充電時間:60h
充電回数:500回
連続使用時間:40min
締め付け回数(M4×20mm):200回
充電形式:microUSB type B
入力:5V/1A
重量:160g
動作環境:-10℃~45℃
充電環境:0℃~40℃
レビュー
使用感に関して
何よりいいのが、回していないときにはロックがかかること。
これにより、途中まで仮締めをして最終的に本締めを手締めで行うことができるということ。あまり今までの電ドラにはなかった気がします。あるかもしれないけど。
回転速度が280min^-1ということで結構低速な感覚です。とはいえ1回転当たりの秒数は4.7回転あります。
M3のねじを締める場合で、ねじのかみ合う部分が5mmの場合、ねじ山ピッチが0.5mmのため、10回転する必要がありますが、2秒程度で仮締めができる計算になります。
手で締めていくと、1秒で1回転できると仮定しても10秒かかります。
それが2秒に短縮できると考えると8割の改善になりますね。まあそんな単純な話ではないというのは置いといて、配線作業で端子台のねじ締めを行う場合一つあるとだいぶ大きな短縮の効果になるのではないかなと思う部分はあります。
また、機械の組み立てを行う場合でも、小規模なM3,M4程度のねじなら十分使えそうな気がします(後述します)。
何より先端bitを交換できるのも大きな利点ですよね。
トルクに関して
さて、気になる方が多いのはトルクに関してでしょう。 このドライバの出せるトルクは ”2.0Nm”。この値は果たして高いのか低いのか。そのことに関してねじの管理方法、規格の紹介も含めて少し考えていこうと思います(面倒な人は飛ばしてください)
ねじの管理方法
ねじを締めるときに定量的な管理方法として、トルク管理されることが多いです。
これはナットランナやトルクレンチでねじを締めれば簡便に管理ができるため、幅広く使用されています。(座面状態や材質、潤滑剤により摩擦係数が変わるため厳密な管理にはならないのですが)
回転角法という方法もありますが、なかなかこれもほかの問題もあり面倒な部分も多いです。(ねじの着座の判定とか)
強度区分
ねじの一種である六角穴付きボルトは十字ねじと異なりカムアウト(回すことで軸方向に外れようとする力)がなく、六角レンチで大きなトルクを伝達できるため、広く用いられます。
このねじには”強度区分”というボルトが出せる軸力によって区分けされています。
ISO規格(JIS規格)です。詳しくはこちらのページを参照ください。
JISのページ ↓
kikakurui.com
きれいにまとまってるところもあった ↓ www.mikipulley.co.jp
例えば強度区分12.9だと、簡単に言うと単純応力が1200Mpaになった時に破断し(引張応力)、その9割で降伏点を迎える。というものです。機械系の方ならわかるのではないでしょうか。
なお、実際ねじは回転させていき締めていくので単純応力にはなりえず、相当応力での評価を行わないといけないのでそこは注意が必要です。
適正トルク
実はねじにこのトルクで締めればOKというものはあまりありません。大体各企業が独自に決めています。
なぜなら、雌ねじ部の材質、摩擦係数、また締結体の材質、摩擦係数に大きく依存するためです。
計算方法もありますが意外と煩雑。
興味があれば、misumiに計算式がありますのでどうぞ
前、締結トルクに関して1回計算したことはありますが、会社のパソコンに入ってるため今は見れないので出せないですね。
大体強度区分12.9の六角穴付きボルトをねじ穴を潤滑させて2.5Nmで締めたときに引張強さの7割の軸力で締結できる。程度のオーダーだったと思います。
まあ計算しただけなんで、今度気が向いたら載せます。(需要がないきはする)
自分の大学時代のボスは、「一回締めていって破断したところをmax値としてそれから安全率かけて使えばいいんだよ」と言ってたので、まあ厳密に管理してもいいけどそれなりでもいいのかなという認識です。
ねじのうんちくに関しては以上です。
結局このトルクってどうなのか
で、この2Nmという値はどのくらいかというと、M3の六角穴付きボルトを締める程度のものです。
なので、この程度ならしっかりと締結できるトルクを出すことができるといえるでしょう。
ただ厳密に定トルクが出せるものではない(そもそもそんな用途ではない)ので目安程度に使用しましょう。
また10Nmだと手締めだと一応多分強度区分12.9のM6の六角穴付きボルトまで実用的な程度まで締めることができます。
バズった感想
twitterでバズるといろんな意見をいただくので面白いなあと思いながら見てたのですが、
「木ねじを締められないし、10N(Nm?)で締めると中の機械的ロックが外れる」
みたいな指摘があってなるほどそういう意見があるのか。と思いましたが、10Nmの力をこの規模のドライバーでは出さないなあと使用用途に対する思想の違いを感じました。マッチョだなぁ。
ほかにも、
「手で締めたいからいらない」
「これはおもちゃだよ」
という意見が引用RTできましたが(みんな引用RT好きね)、気に入ったら買えばいいしこの人には合わなかったんだろうなあと思いながら見てました。
なんにしろ、先ほど言ったようにこの工具の用途はねじ締めの補助ですから増し締めは手でやるし、そこまでの仮締めをモータで補助してくれるものという認識で使用するのがいいとおもいます。
こんな小さいドライバーにこのレベルの機能がつけることができた時点で十分革新的な商品ではないでしょうか?
これから使っていき使用感を見ていきたいですね。
最後にもう一回宣伝↓
以上、原宿のカフェからでした