ねじは何を購入するべきなのか
更新が遅い時もあれば早い時もある。
書けるときにちょくちょく書いていきたい。
CNCの話は後にとっておくとして、今回はまたまたねじの話。
ねじは大学の時に研究していたこともあり、とても好きです。
ベアリングやギアなんかも同じレベルで話せるレベルになりたいものですね。
今回のテーマ
ねじはどこでどれを買いべきなのかという話。
ねじって新規でそろえると案外高いんですよね。だから安いものを購入するけどそれって本当に大丈夫なの?ってことを検証しようと思います。
対象のねじ
今回検証するねじは、強度区分12.9のM2の10mmのねじを使用します。
メーカーは、
* 大阪魂
* TRUSCO
* Aliexpress
の3種です。リンクを以下に貼っときます。
大阪魂 15円/個
TRUSCO 24円/個
Aliexpressのよくわからないねじ 6円/個
実験方法
デジタルトルクドライバで万力で固定したねじをねじ切って、破断したトルクを測定します。
トルクドライバはこれです。
それをn=20個で実験を行います。
実験風景
実験結果
折っては貼り折っては貼りを繰り返した結果がこれ。
これで大体の結果がわかる。Aliexpressのねじだけサンプル数が少なくてn=18です。許して。
ちょっと考察
最大最小平均、正規分布としてみたときの標準偏差σと±3σで推定される範囲を出してみた。青が他より弱いもの、オレンジが他より強いものを色付けてます。
ちなみにヒストグラムにするとこんな感じ。横軸破壊トルク、縦軸個数です。
強さでいうと、Aliexpressのねじが一番強いという意外な結果に。結構びっくり。
大阪魂は昔M5のねじを使っていた時もねじ切れた経験があるので弱めに作ってるのかもしれないですね。
TRUSCOは大阪魂よりも強く、Aliexpressよりも安定した品質だということがわかります。大阪魂も分布はまとまっているので、品質的には安定してます。一方Aliexpressのねじはどうしたんでしょうね。ロット違いか、違う強度区分のものが混じったか、製造時の条件が管理できていないか。少なくとも上で3σを出した意味はなかったですね、すみません。右側の塊か左側の塊がランダムで出てくるのかも。
結局このねじたちは使っても大丈夫なの?
大丈夫です。
実はこの破壊試験、JISとISOで規定されてるものです。
kikakurui.com
大体は引張試験でするんですけど、小さいねじ、細いねじは引張試験ができない(装置でつかめなかったりする)ため、ねじり破壊試験をします。
それで、今回使用したねじの強度区分は12.9のため、0.5Nm、つまり50cNmを破壊トルクが超えていれば問題ないという結果になります。
なので、どれを使っても問題ないです。やったね。
でも、これってねじの破壊強さで見ていいの?降伏点で見るべきじゃないの?という意見もあると思いますが、ねじは使用するときには基本的に塑性域に入る状態で使用するので、それなら最大の強さで見たらいいのではないかと思います。ただ、ねじにせん断、まげがかからない使用が前提です。
結論
Aliexpressでねじを買っても問題ない。でもいろんな出展者がいるから、ほかのところがどうかはわからないかも。。。
安定した品質を求めるなら、今回の中ではTRUSCOだと思います。ほかにもあるとは思うので、調べてみても面白いかも。
最後に
ねじって一つ一つは安いけど、長さ違いや個数を増やそうとすると結構な値段になるし、ばかにならないです。
ロボコンで作るロボットは製品ではないし、コストを考えると中華ねじを使ってもいいんじゃないかって思います。
ただ、注文してから届くまで結構かかるので、オフシーズンに先を見越して、大量注文しとくのはありかもしれません。
設計者としてはコストを考えてねじの長さを統一させるようなセンスもほしいですね!
ちょっとでも役立つ情報だったらうれしいです。
以上!