じゃすといんたいむ

趣味だったり何だったりの不定期な日記

新型オムニホイールの開発

意外とさぼるとブログなんて書かなくなるもんですね。 の割にはなんだかんだ日に5人くらい見に来てる。
何見に来てくれてるんだろ?

ということで?今回は、ロボカップ用に新しくオムニホイールを作ったという記事です。

オムニホイールとは

基本的にここを見に来る人は大体ロボカップがどんなものかを知ってる人だとは思うので、オムニホイールの説明は必要ないでしょう。 まああれです。全方向移動できる特殊なタイヤです。

検索したら一番上に出てくるやつ

daisen-netstore.com

新型オムニホイールの開発

現行のオムニホイールは

・小車輪の突き出し量が少なく、カーペットに絡まり制御がしにくい
・切削で製作しなければならないため、加工に時間がかかる。

という問題点があったため、新規でロボットも製作するしオムニも新しくしようかという流れで新型オムニホイールを設計しました。
※ちなみに私は設計者ではないです。設計者紹介...しようとしたら鍵垢だった。質問はscrambleか私まで。

twitter.com

新型オムニホイールの特徴

新規に製作したオムニホイールですが、形状面での特徴と、製造面での特徴があります。

形状面の特徴

オムニホイールとしての形状はごくごく一般的な形です。 外直径54mm、小車輪径10mm×18個、厚みは10.5㎜のオムニホイールです。 ユニークな点として、オムニホイール内部にm0.5 z60の内歯車がついています。

オムニホイールを使用する際使用用途に合わせて適切な回転数とトルクにするために減速を行いますが、 それがこのオムニホイールとモータについているピニオンで完結するのが特徴です。

利点については後で書きます。

製造面での特徴

個人ベースのロボット製作では、切削、積層、切断という製作方法が一般的ですが、このオムニホイールのメインの部品は成型で製作しています。
射出成型により製作することにより、切削という時間の短縮となり、結果的にトータルの(時間も含めた)コストが安いのではと考えたためです。
今回利用した射出成型会社は毎度おなじみプロトラブズです。

www.protolabs.co.jp

ここはシミュレーションで事前に怪しい部分を通知してくれ、設計変更をするサイクルを繰り返すことできます。
なので、設計が悪く成型できないというリスクを減らすことができます。
ほかにも安い成型屋さんもありそうですが、初心者には優しい会社だと思ったのでここを選びました。

オムニホイールの実物写真

一回使用しているので少し汚れている

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新型オムニホイール

構造の紹介

CAD図

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正面図

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側面図(断面)

内歯車を作るにあたり、ギア部の厚みを確保するためにテーパをつけて補強している。(側面図小車輪まわり)
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アイソメ図

構成部品

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オムニホイール構成部品
フレームinside(白 射出成型)×1
フレームoutside(黒 レーザー加工品)×1
小車輪(ウレタン)×18
ピン(φ2×6mm)×18
スペーサ(PTFE)×18
M2ねじ×5 ワッシャー(M2用)×2×18
ベアリング(MF106ZZ1等)×2

新型オムニホイールの利点

内歯車にする利点

・重心を下げることができる
構造にもよりますが垂直方向にタイヤとモータを配置する場合、外歯車を使用するとモータの位置が上がるため重心が高くなります。(疑似的に上げているだけなのでcadの干渉等は目をつぶってください)

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外歯車を使用した場合のモータ位置

一方、内歯車を使用することで、同じ構造だと歯車一つ分高さを下げることができるので低重心な機体にすることができます。

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内歯車を使用した場合のモータ位置

また、内歯車にすることで省スペース化の利点があります。現在SSLで使用されている変速機構の多くは内歯車なんですけどね。
とはいえ、オムニホイール内部に歯車を埋め込む関係上内歯車にせざるをえなかったのですが。

一体になっている利点

こっちがメインの利点。 現行機のオムニホイールの内歯車の歯幅は3mm、今回のオムニホイールも3mmとしています。
新型のオムニホイールの厚みには歯車を含んでいるので、比較すると3.5mm、25%の厚みの削減となっています

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現行型

f:id:xtecheng:20190506154438j:plain:w500]
新型
直径180mmの機体で径方向には3.5mm×2で7mm。 意外と小さいように見えますが、機体制限が厳しい競技だと非常に大きな差です。

さめさんがちょっと設計してみてた。

販売計画

さて、なんでこんなに新型オムニホイールをアピールしたかというと、金型のイニシャルコストが思ったよりかかったため製作費を圧迫してます。
なので、型代の回収を行うため外販を考えています。
売る形態はまだまだ未定です。(チーム内でも話し合いしないとだし) ただ、少し考えているのは

・フレームinsideのみ(歯車が削れた場合の補修部品)
・フレームinside、outside、ピンのみ(小車輪は自分で使用環境に合うものを用意)
・1輪フルセット

の3つかなと思ってます。 3個割引とか4個割引とかも考え中。
ヤフオクかなーメルカリかなーBASEかなーそれとも朱雀さんとかにお願いしてみてもいいかなーとかとか

とはいえ、利益を出すためではなくて、あくまでも"金型代の回収"なので価格は抑える予定です。
みんな人を助けると思って買っていただけるとありがたいです。

新規参入チームも検討いただけると嬉しいですね。
ただ、オムニホイールとかも自分で作りたいというのもわかるので、あまり売れないかもというのも率直な感想。

射出成型するとどんなもんかっていうので買ってみてくだしあ。
また後日、販売については書きます。

-----10/24更新-----
販売開始しました!

store.shopping.yahoo.co.jp

では!